ハースストーン・レジェンドランクを目指す 第三回 〜 デッキリストを決めよう 〜

今回は、アーキタイプの決め方 に続いて、デッキリストの決め方について考えていきます。

 

2つの決め方

デッキリストを決定するタイミングを2つに分けて考えます。

まず、アーキタイプを決めたあと、初めて使うデッキリストを決めるときです。

 

次に、デッキリストの何枚かを入れ替えるときです。

 

例えば、弱いと感じたカードを入れ替えたい、特定のアーキタイプへの対策としてテックカードを入れたいといった動機で入れ替えることを指します。

それぞれで注目するポイントが異なるので、区別して考えていきます。

 

 

初めて使うデッキリスト

初めて使うデッキリストでは、HSReplayから選ぶのであれば、ゲーム数の最も多いものがよいです。

検索するときの設定は、直近7日、レジェンド上位1000がおすすめです。

 

レジェンドの上位になればなるほど、流行に適応し、かつその中で強いものを使うプレイヤーが多くなり、下のランクでも将来的に強くなる可能性が高いです。

 

ただし、HSReplayのデッキリストが必ずしもよいとは限らないので、そのアーキタイプの上位報告のあったデッキリストを他のサイトから見つけて、それを使うのもおすすめです。

 

コピーすれば、本人のそれぞれのカードの採用意図を理解しなくても、強いリストを使うことができます。採用意図は使いながら理解していけば問題ありません。

 

また、拡張やパッチが実装された直後は、そもそもHSReplayを使うべきではないので、上位報告のあったデッキリストを使うことになります。

 

カードの入れ替え

本当に入れ替えるべきか?

まず、本当にカードを入れ替えるべきかどうかについて考えます。

カードを入れ替えたいと思う典型的な状況として、デッキXを使っていて、不利なアーキタイプYと多く対戦したので、それに対応するためにカードを入れ替えるというものがあります。

 

これを例にとって考えてみましょう。

 

テックカード

テックカードとは、特定のデッキにのみ効果的なカードのことを指します。

Hearthstoneでは、武器を破壊するカードや、沈黙するカード等たくさんのテックカードがあります。

 

 

例えば、武器を破壊することができたら不利なアーキタイプYにも勝てる可能性が上がるので、武器破壊できるカードを入れようと考えるのはよくある発想です。

 

しかし、ランクを上げるために重要なことは、勝率を最大化することであり、不利なアーキタイプYに勝つことではありません。

従って、カードを入れ替えて勝率が上がるときだけ入れ替えるべきということになります。

 

一般的に、テックカードは入れない方がよい場合が多いです。

 

実際、テックカードを入れて勝率が上がるほどに不利なアーキタイプYが多いなら、勝率を最大化するという目的において、そのアーキタイプを使うことをやめるべきです。

逆に、不利なアーキタイプYが少ないなら入れる必要はないです。

 

テックカードを入れてもその悪い影響が少ないアーキタイプとして、ハイランダーデッキがあります。

 

ハイランダーデッキは、デッキに重複するカードがない、つまり、各カードが1枚ずつしか含まれていないデッキのことです。

 

 

ハイランダーデッキでは、明確なデッキのコンセプトを定めることができず、強いカードを入れてデッキを組むことが多いです。

そこで、テックカードを入れても、そのアーキタイプのやりたいことを妨げません。

 

それ以外

テックカード以外でカードを入れ替えたいときは、弱いと感じたカード、使う頻度が低いと感じたカード等を入れ替えたいと思うことが多いです。

 

そこで、それは本当に弱いのかを確かめる必要があります。

 

具体的に言うと、環境に多いアーキタイプを対戦相手にしたときに、以下のような質問に答えられるとよいと思います。

(例として、1つ目はアグロvsコントロール、2つ目はミッドレンジvsOTKデッキでありそうな例を示しています。)

 

  • 典型的な試合の展開は何か?
  • 序盤はこちらが盤面を支配して、途中から相手が単体除去やAoEを打ってくる。そこからは盤面を維持するのが難しい。
  • 相手はOTKをするため、それが決まるまでに強引に展開を押し付ける。
  • 負けるときはどういう展開のときで、それを避けるにはどのようなプレイングが必要か?
  • 最速で相手が打てるAoEは、全体3ダメージか、5ダメージをランダムに分けて与えるのみである。そこで、そのどちらでも盤面が壊滅しないように気をつけて展開することで、有利に進めることができる。
  • 相手が打つことができる除去札の量は限られている。そこで、展開を工夫して相手のプレイングに圧力をかけることで相手がOTKできるターンを引き伸ばしつつ、相手のライフを削る。
    以上を踏まえて、有利不利の程度はどれくらいか?
  • AoEをケアできれば望ましいが、実際には必ずしもケアできないので、仕方なくカードをすべて使うことも多い。勝率は3割程度。
  • 展開を工夫し、余ったマナコストをドローカード等に使うことで、試合を有利な展開に進めやすい。勝率は6割程度。

 

このゲームのことを熟知していない限りは、これらに答えるには、適切な反省や座学をしつつ少なくとも100試合程度プレイする必要があると思います。

 

試合展開の具体的なイメージをもつことができると、自然とデッキの中の強いカードと弱いカードが分かってきます。

 

ここから、弱いカードが統計としてどう表れるかを考えますが、結局、個々のカードのテキストやデッキの中での役割を理解していないと統計を正しく解釈できません。

 

 

カードの強さを統計的に見る

HSReplayでは、各カードについて条件つきの勝率がいくつか表示されています。それは、以下の3つです。

  • マリガン勝率 $$cdots$$ そのカードが最初の手札にあった試合の平均勝率
  • ドロー勝率 $$cdots$$ そのカードが最初の手札、またはいずれかのタイミングで引かれたゲームの平均勝率
  • 使用時の勝率 $$cdots$$ そのカードがいずれかのタイミングで使用されたゲームの平均勝率

 

下の表は、状況別にどの勝率に数えられるかをまとめたものです。これを見ながら、カードが弱いということとどの勝率が結びつくのかを考えます。

 

まず、使うときに弱いカードは、すべてで数えられるので、特定のものとの結びつきは考えられません。

使うときに強いカードでは、その使う頻度に着目します。使う頻度が少ないものとして、リーサルをとるときにだけ使うカードのように用途の限定されたカードが挙げられます。

 

このようなカードの使用時の勝率は、勝つときにしか使われないので高くなりますが、それはカードが強いことを必ずしも意味しません。

 

従って、使用時の勝率はカードの弱さを表せないということになります。逆に、ドロー勝率は、ドローしたあとに使わなかったカードは低く評価します。

そこで、ドロー勝率は使用時の勝率よりも優れた指標であると言えます。

 

また、低コストのカードについて、序盤に使うときに与える試合の影響は大きいものの、終盤に使うと影響は小さくなります。

そこで、マリガン勝率は、低コストのカードについて、最初の手札にあった場合のみの勝率になっているので過大評価しています。

 

従って、ドロー勝率のほうがマリガン勝率よりも優れた指標であると言えます。

以上から、ドロー勝率が最もカードの強さを評価するのに相応しい指標であるとわかります。

 

 

ドロー勝率についての補足

実質的なコスト

上でドロー勝率はコストの高低を反映していると書きましたが、厳密に言うと、コストではなく、使用するターンの分布の様子を反映します。

そこで、使用時の勝率の2つ隣のTurn Playedを利用することができます。

 

単純に考えると、マナコストが大きいほど、Turn Playedは大きくなりますが、実際はそうなっていません。

 

低コストのカードであっても、試合の序盤に使わないカードがあるからです。

このとき、ドロー勝率も、低コストのカードとして見るのではなく、Turn Playedの大小を加味して見るとよいです。

 

詳しく見たいときは、ドロー勝率とTurn Plyedで分布図を描くと視覚的に把握できてわかりやすいです。

 

カードを引く枚数

一試合で何枚カードを引くのかはドロー勝率と大きく関わります。例えば、デッキがカードXのみからなるとし、勝率50%で、勝利する試合で平均20枚、負ける試合で平均10枚引くとします。

 

このとき、ドロー勝率 $$\bar{w}$$ は、 $$\bar{w} = \frac{20}{20 + 10} = 6.7 \times 10^{-1}$$ となります。

 

まとめると、この設定では勝率が50%でも、ドロー勝率は67%になっています。

勝つときと負けるときでドロー枚数が異なるというのは、よくあることです。一般的には、アグロでは負けるときにドロー枚数が多くなり、コントロールでは勝つときにドロー枚数が多くなります。

 

このように、ドロー勝率はそのデッキの中で比較するべきであって、他のデッキと比べても上手く比較するのは難しいです。

 

引くと弱いカード

カードAの効果でカードBを引きたい、使いたいといった状況のときは、カードBの使われ方について、そのまま引いてしまうときと、Aで引いて強く使えるときがあり、カードBのドロー勝率はその平均になります。

 

前者のドロー勝率は低くなるので、実際の強さより過小評価してしまうことがあります。しかし、それはカードBが弱いことを意味しません。

 

入れ替えるカード

ここまでを踏まえて、リストの中から入れ替えるカードの候補を得たとき、それを何と入れ替えるのかについて考えます。

 

まず、同じ役割をもった別のカードと入れ替える場合があります。

これは、別のリストを参考にして候補を考えてもよいですし、特別な意図で入れたいカードが先に決まっている場合もあると思います。

 

次に、役割の異なるカードと入れ替える場合です。特にコントロールデッキでは、ドローが十分にできるなら入れ替えの影響は少なくなるので、入れ替えやすいです。

 

 

まとめ

最初のリストを決めるときには、レジェンドの上位のリストを参考にします。

また、そこから何枚かカードを入れ替えたいときには、入れ替えることで勝率を上げることができるのかをよく考える必要があります。

 

そこで、HSReplayではドロー勝率を見ると強さを比べやすいですが、いくつか注意すべき点もあります。

十分にカードの役割を理解して、HSReplayも活用しつつ、より強いデッキリストを目指しましょう。

 

次回

プレイングの上達方法を考えます。HSReplay上では実力の差がどのように現れているのか、どこを参考にすれば改善できるのか、有意義な反省の仕方等について考えます。

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